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A社の場合 第2話


 第1話からの続き
 結局、得意先からの要求に逆らえず合弁会社を設立することになりました。
 資金は何とか金融機関から借りましたが、大きな問題が二つありました。

① 合弁会社を運営する人材の本社からの流出。
② 合弁会社への組み立て工程の移管による本社の売上高・付加価値の減少。

人材については、専務を社長に就任させ、更に会社基盤を構築する為にヘッドハンティングしたばかりの有能な新入社員を右腕として送り出しました。
専務は本社の営業責任者で、新入社員は購買のエキスパートでした。

売上高は、部品加工のプレス板金工程の設備が合弁会社に無いので本社に残りましたが、組み立て工程は全て移管されました。
つまり本社だけで考えれば、結局組み立て工程を引き揚げられたのと同じ事になった訳です。
当然その付加価値の減少分は収益性を下げ、資金を圧迫してきます。

しかし、その不足する運転資金は金融機関は貸してくれません。
また、借入してもその返済資金の負担は重すぎます。

更に、売上・付加価値の減少分を補うための営業をするには、今まで営業の中心であった専務がおりません。
僅か50人足らずの会社ですから全ての不足問題を社長が解決しなければなりません。

止むを得ず、今まで振り出していなかった手形に手を着け、当面の資金不足は切り抜けました。
その間に売上高を伸ばさなければなりません。

精密プレス加工の技術で高付加価値を得ていた企業が、目の前を生き残るため低付加価値の板金加工を受注し、本社の生産管理・品質管理・原価管理は混乱状態となり、社長が終始営業に飛び回って会社におらず社内統制が乱れ、遂に風紀までが乱れる状況となってしまいました。




・・・・・・・ 続く








ある事業再生の現場から 運送業その1


ある運送業事業整理の現場から ①



以前、ある小さな運送会社の社長が相談に来られました。

女性社長なのですが、数年前に社長である御主人が亡くなられて、止むを得ず社長に就任したとのことです。
やつれた顔をして、疲労困憊の色が浮かんでいます。

事情を聴くと、現在、会社は従業員一人で、自分は報酬を取らず、金融機関への返済財源も無いので近くのスーパーでパートをしてその給料で返済しているとのことです。

「どうなりたいのですか?」
と尋ねると、

「兎に角楽になりたいのです。静かに暮らしたいのです。只、90歳の母が同居していますので自宅だけは残したいのです。」
との答え。

決算書を見ると、流動資産が200万円、流動負債が200万円。
固定資産が会社の土地1000万円で、借入金が1000万円。
「えっ?」

前年売上高が1200万円で、経常利益が0円。
「えっ??」

よく見ると、営業利益が△200万円。営業外収益が200万円?
「えっ? えっ??」

「この、営業外収益200万円は何ですか?」
と尋ねますと

「トラックを売りました。」
「でも、トラックは運送会社の大事な武器でしょう?」
「従業員が一人しかいませんし、私は運転できませんから2台あっても仕方ないんです。
主人が生きていたときは10台もあったのです。
でも、銀行はまだ資金は貸しますから頑張ってくださいと云うのです。
税理士に相談したら、利益はトントンだし、東北大震災でこれから運送は良いから頑張ってみたらと云うんですが、従業員一人に運転できない社長が一人で経営出来る訳がありません。」

具体的な策もなく金融機関と税理士はなんて無責任な発言をするのでしょうか!
つまり、自宅を担保にすれば、まだ融資しますよ。それを資金に車両を仕入れて台数を増やし、挽回できると云う事のようです。


つづく