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ある事業再生の現場から 運送業その1

ある運送業事業整理の現場から ①



以前、ある小さな運送会社の社長が相談に来られました。

女性社長なのですが、数年前に社長である御主人が亡くなられて、止むを得ず社長に就任したとのことです。
やつれた顔をして、疲労困憊の色が浮かんでいます。

事情を聴くと、現在、会社は従業員一人で、自分は報酬を取らず、金融機関への返済財源も無いので近くのスーパーでパートをしてその給料で返済しているとのことです。

「どうなりたいのですか?」
と尋ねると、

「兎に角楽になりたいのです。静かに暮らしたいのです。只、90歳の母が同居していますので自宅だけは残したいのです。」
との答え。

決算書を見ると、流動資産が200万円、流動負債が200万円。
固定資産が会社の土地1000万円で、借入金が1000万円。
「えっ?」

前年売上高が1200万円で、経常利益が0円。
「えっ??」

よく見ると、営業利益が△200万円。営業外収益が200万円?
「えっ? えっ??」

「この、営業外収益200万円は何ですか?」
と尋ねますと

「トラックを売りました。」
「でも、トラックは運送会社の大事な武器でしょう?」
「従業員が一人しかいませんし、私は運転できませんから2台あっても仕方ないんです。
主人が生きていたときは10台もあったのです。
でも、銀行はまだ資金は貸しますから頑張ってくださいと云うのです。
税理士に相談したら、利益はトントンだし、東北大震災でこれから運送は良いから頑張ってみたらと云うんですが、従業員一人に運転できない社長が一人で経営出来る訳がありません。」

具体的な策もなく金融機関と税理士はなんて無責任な発言をするのでしょうか!
つまり、自宅を担保にすれば、まだ融資しますよ。それを資金に車両を仕入れて台数を増やし、挽回できると云う事のようです。


つづく



 
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